int型のゼロ除算で実行時に落ちる原因
int型同士の割り算で除数が0になったときに実行時エラーで異常終了するバグです。コンパイルは正常に通り、実行して初めて発覚します。
エラーメッセージの読み方
Floating point exception
(エラーメッセージなし)- これはプログラム自身の出力ではありません。プログラムは何も言わずに落ちています
Floating point exception- シェルが検知した異常終了の種類 — OSが「不正なメモリアクセス」などを検出しプロセスを強制終了させました
見つけ方- このメッセージだけでは行番号すら分かりません。原因はコードを読んで特定するしかありません
このエラーが出る典型パターン
パターン1
1 #include <iostream> 2 int main() { 3 int total = 10; 4 int count = 0 ; ^ 5 std::cout << (total / count) << std::endl; 6 return 0; 7 }
int型を0で割ると、C++はこれを例外として捕まえられず、プロセスが強制終了します。countが0になり得る場合は、割る前に0でないことを確認する必要があります。
直し方: 0 を 2 にします。
パターン2
1 #include <iostream> 2 int main() { 3 int items = 9; 4 int groups = 0; ^ 5 std::cout << (items / groups) << std::endl; 6 return 0; 7 }
ゼロ除算のクラッシュにエラーメッセージは出ません。シェルが検知した「Floating point exception」という1行が表示されるだけで、どの行が原因かは分かりません。
直し方: 0 を 3 にします。
パターン3
1 #include <iostream> 2 int main() { 3 int score = 88; 4 int divisor = 4 - 4; ^ 5 std::cout << (score / divisor) << std::endl; 6 return 0; 7 }
4 - 4は0になるため、divisorが0のままscore / divisorが実行され、実行時エラーになります。
直し方: - を + にします。
パターン4
1 #include <iostream> 2 int main() { 3 int budget = 500; 4 int teams = 0 ; ^ 5 std::cout << (budget / teams) << std::endl; 6 return 0; 7 }
int型の0除算はコンパイルも通ってしまい、実行時にプロセスごと強制終了します。
直し方: 0 を 5 にします。
パターン5
1 #include <iostream> 2 int main() { 3 int stock = 40; 4 int boxes = 5 - 5; ^ 5 std::cout << (stock / boxes) << std::endl; 6 return 0; 7 }
5 - 5は0になるため、boxesが0のままstock / boxesが実行され、実行時エラーになります。
直し方: - を + にします。
よくある誤解
C++は例外機構を持つ言語ですが、int型のゼロ除算はC++の例外(std::exceptionの仲間)としては飛んできません。CPUレベルの割り込みをOSが検知し、シェルが「Floating point exception」として報告するだけで、catchで捕まえることはできません。
実務での勘所
C++の例外機構(throw/catch)は、あくまでコンパイラが生成したコードの中で明示的にthrowされたときだけ動く仕組みです。整数のゼロ除算はCPUがハードウェアレベルで検出する異常であり、コンパイラが挿入した例外処理のコードを一切経由しません。OSがこれをシグナルとしてプロセスに送りつけ、対処するコードが無ければそのままプロセスを強制終了させます。例外とシグナルはC++において完全に別系統のエラー通知の仕組みであり、try-catchはシグナル由来のクラッシュを捕まえられません。