NaNを===やswitchで判定できない理由と直し方
NaNはIEEE 754の仕様上、自分自身とも等しくないため、===はもちろん==でも決してtrueになりません。数値変換の失敗をチェックする際にこの性質を知らないと、判定が常にすり抜けます。
なぜエラーが出ないのか
出力: true
(エラーなし)- JavaScriptは何も報告しません。文法として正しいためです
出力: true- 実際の挙動 — 期待した結果と食い違っている箇所
見つけ方- エラーが出ないので、出力を目で確かめるか、コードを目で追うしかありません。この種の誤りが最も発見が遅れます
このエラーが出る典型パターン
パターン1
1 function isValidAge(input) { 2 const age = Number(input); 3 return !(age === NaN ); ^ 4 } 5 console.log(isValidAge("abc"));
NaNはどんな値(自分自身も含む)と比較してもfalseになります。存在チェックにはNumber.isNaN()という専用の関数が必要です。
直し方: age === NaN を Number.isNaN(age) にします。
パターン2
1 function isNumeric(input) { 2 const n = parseFloat(input); 3 return !(n === NaN ); ^ 4 } 5 console.log(isNumeric("abc"));
parseFloatが変換に失敗するとNaNを返しますが、=== NaNでの判定は常にfalseになるため、失敗を検出できません。
直し方: n === NaN を Number.isNaN(n) にします。
パターン3
1 function isDivisible(a, b) { 2 const result = a % b; 3 return !(result === NaN ); ^ 4 } 5 console.log(isDivisible(5, 0));
0による剰余演算はNaNになります。=== NaNでは検出できず、割り切れると誤判定してしまいます。
直し方: result === NaN を Number.isNaN(result) にします。
パターン4
1 function isValidScore(input) { 2 const score = Number(input) * 1; 3 return !(score === NaN ); ^ 4 } 5 console.log(isValidScore(undefined));
Number(undefined)はNaNになります。=== NaNでは検出できないため、常にtrueを返してしまいます。
直し方: score === NaN を Number.isNaN(score) にします。
パターン5
1 function isSafe(a, b) { 2 const ratio = a / b; 3 return !(ratio === NaN ); ^ 4 } 5 console.log(isSafe(0, 0));
0を0で割るとNaNになります(他の数を0で割ったInfinityとは別物です)。=== NaNでは判定できません。
直し方: ratio === NaN を Number.isNaN(ratio) にします。
よくある誤解
「NaNはNaNと等しいはず」という直感に反し、NaN === NaNは常にfalseです。存在確認にはNumber.isNaN()という専用の関数を使う必要があります。
実務での勘所
NaN !== NaNという性質はJavaScript独自の癖ではなく、IEEE 754という浮動小数点数の国際規格自体がそう定めています。この規格に準拠する言語はほとんどすべて同じ挙動になります。JavaScriptにはNumber.isNaN()のほかにObject.is(NaN, NaN)という比較方法もあり、こちらはtrueを返します。Object.isは===とは別の「SameValue」というアルゴリズムを使っており、NaN同士や+0と-0の違いなど、===が特別扱いする例外にちょうど対称的な扱いをする、という関係になっています。